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美女峠
【びじょとうげ】


高山市山口町と大野郡久々野(くぐの)町辻の境にある峠。標高900m。江戸街道(信州街道)が通り,山口は宿場町として栄えたという。「山口より辻村迄の間は,峠の山道なれども,往還の通路故道中もよく,一里余の峠道なり,字びじょうげと云ひ中根ともいふ,則,益田(ました)郡と大野郡の境山此尾通なり」(国中案内)。「後風土記」は郡上界(ぐじようげ)といい,古代に大野郡から益田郡を分立した際の境界とする。阿多野(あだの)郷の村民は長年にわたって尾根道にかえて,大八賀(だいはちが)川沿いの大嶋通り(現国道361号)の開設を要望してきたが,大嶋村(現高山市大島町)の反対で実現しなかった。同郷37か村が道路に対する一切の責任を負うという一札を入れ,大嶋通りが開設されたのは江戸末期(飛騨の街道)。頂上付近は白樺林の高原で,周囲360mの見座沼(大野郡朝日村地内)もあって,キャンプ・ハイキングを楽しむ者でにぎわう。尾根伝いの旧江戸街道は北アルプスの眺望がよく,幕の松接所跡・比丘尼屋敷跡(ともに高山市指定史跡)もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7108204