笠西村
【かさにしむら】

(近代)明治22年~昭和3年の山名郡の自治体名。明治29年からは磐田(いわた)郡に所属。原野谷(はらのや)川・法多沢川流域に位置する。村名は小笠(おがさ)山の西に位置することによる(静岡県磐田郡誌)。豊沢・愛野・高尾の3か村が合併して成立。大字は旧村名を継承。役場を大字豊沢に設置。明治24年の戸数509・人口2,499。大正9年の世帯976・人口4,942。明治22年国鉄東海道本線開通,大字高尾に袋井駅設置。同43年袋井駅における主要発送貨物は,米4,624t・藁莚1,865t・茶1,033tなど,主要到着貨物は肥料・豆粕その他4,119t・石油1,519t・石炭881tなど,旅客乗車人員は14万9,897人であった(笠西村史要)。戸数の増加は,袋井駅の発展と商工業の発達に伴う移住者の流入による(同前)。明治25年愛野~高尾間に新道開削がなされ,同26年愛野~豊沢間に金山坂開削,同年高尾~新池(にいけ)間に道路が開通し,村内の道路整備がなされた。同30年,袋井駅から袋井町への交通が多くなり,途中の原野谷川が従来一本橋で増水時は渡船にたよっていたため,同川に長さ16間の静橋(しずかばし)を架設。同43年頃の主な農産物は,米(反別206町5反余)・麦(反別51町5反余)など穀物のほか,茶(反別68町5反余)・桑(反別32町8反余)であった。明治22年刮目尋常小学校豊沢分校を笠西尋常小学校本校とし,高尾分校をおく。同25年笠西尋常小学校はそれぞれ愛野・豊沢両尋常小学校として独立し,高尾分校も高尾尋常小学校となる。同32年豊沢・高尾両尋常小学校が合併して笠西尋常小学校となる。学齢児童数・就学生徒数は明治32年337・227,同43年665・665(同前)。昭和3年袋井町に合併。各大字は同町の大字として存続。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7110615 |