笹山金山
【ささやまきんざん】

笹金山ともいう。静岡市大井川上流井川にあった金山。笹山をはじめ,君岳・穴山・小河内などの金山がしられており,笹山から勘行峰に続く尾根の西斜面にある。金沢・捻切・井川・宝玉などの鉱床もある。一般に金20~40g/tの品位であるが,捻切は50~80g/tと高く,金沢では昭和12年の最盛期には約200人の人々が従事し,精錬所をもつほどであったが,昭和18年以降は採掘は行われていない。宝玉鉱山は安倍川水系奥仙俣北方である。安倍川上流の梅ケ島金山と同じく享禄年間より採掘され,天正~慶長年間の産額は多く,慶長の大判・小判の原料となった。また井川村中野では砂金の採取がされ,沢流金と呼ばれた。笹山は江戸期以降休山していたが昭和13年頃に探鉱坑道を開削し採金を続けたこともある。井川鉱山も昭和17年頃まで時々鉱業権を得て採掘が行われ,金・銀を主な産品とした。また笹山金山には千軒平という人夫の小屋跡や女郎塚などがあり,往時の跡をとどめている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7111661 |