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大恩寺
【だいおんじ】


宝飯(ほい)郡御津(みと)町広石にある寺。浄土宗。山号は御津山。本尊は憂喜安志把富貴如来(阿弥陀如来)。寺伝によれば,敏達天皇の時代に百済の僧恵灌が開創した浄光院という三論宗の寺であったが,のち廃絶しかけていたのを,文明年間に下総国飯沼弘経寺2世の了暁慶善が再興して新宮山大運寺と号した。延徳2年現在地御津山に移り,山号も改めたという(御津山誌)。了暁は明応2年3月13日の後土御門天皇綸旨によって紫衣を勅許され,2代肇誉は同8年3月23日に勅願所の綸旨をうけた(御津町誌史料篇上)。この時までは大運寺とある。松平親忠四男超誉存牛は肇誉について修行し,のち岩津信光明寺3世から京都知恩院25世となった関係で,松平親忠の外護が伝えられている。牛久保牧野氏,次いで今川氏の外護をうけた。天文22年建立の国重文念仏堂にも助成があったであろう。弘治2年2月17日の今川義元安堵状には6町9反と18貫600文余の土地が「如牧野民部丞時,為新寄進」相違なく,諸役不入を認めるとある(同前)。天正2年3月徳川家康から買得地安堵の朱印状,同8年に5か条の制札をうけ,慶長7年6月16日に広石村で100石の朱印地を与えられた(同前)。近世塔頭13・末寺36。高麗の絹本着色王宮曼荼羅図は国重文,寛文12年建立の山門をはじめ,県文化財が4件ある。なお境内の天然林は,面積約30haの常緑広葉樹林で,生態学的にはツブラジイ―サカキ群集とされ,コクラン・ツルコウジ・ハナミョウガなどが自生する。御津山の頂上は御津山遊園地として桜の名所になっており,頂上からは三河湾・豊橋平野の眺望がよい。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7119883