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中村
【なかむら】


旧国名:三河

(近世)江戸期~明治17年の村名。三河国碧海郡のうち。碧海台地北縁部,猿渡川と吹戸川の合流点の東。もとは長崎村と称したが,元禄年間に刈谷藩主が猿渡川と吹戸川の中間にあるところから中村と改めさせたことにより成立(知立市史)。はじめ刈谷藩領,寛政4年陸奥福島藩領,明治2年からは同藩が改称して重原藩領。村高は,「元禄郷帳」603石余,「天保郷帳」585石余,「旧高旧領」361石余。延宝6年谷田村を分村したが,「元禄郷帳」「天保郷帳」では同村の村高は当村のうちに含まれている。小物成に山下草年貢と茶園年貢がある。東海道池鯉鮒(ちりゆう)宿の助郷村。海潮が進退する猿渡川を利用した舟運が盛んで,字百度(ずんど)には長崎湊があり,酒や米が船積みされた。寺社に,神明社・真宗大谷派善教寺・臨済宗長照寺がある。明治2年無禄となった重原藩士が原野に入植,字新林に集落を作り,茶の栽培を行ったが,開墾は困難を極め定住した者はほとんどいない。現在の集落は明治用水通水後にできたもの。同13年の「中村誌」によると,反別は135町余,うち田32町余・畑44町余,戸数109・人口489,物産は米・大麦など13種のほか,木綿・絞油・茶・繭・瓦などがあり,農業の傍ら男は養蚕・製茶に,女は機織・製茶に従事した。同17年西中村と改称。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7121292