大淀
【おおよど】

旧国名:伊勢
「おいず」ともいい,負戸(伊勢参宮名所図絵)・於以津・老津などとも書いた。大堀川河口の伊勢湾岸に位置する。地名の由来は,倭姫命が当地を通った際,海が大変よどんでいたため大淀と呼んだという(倭姫命世記)。地内の竹大与杼神社は倭姫命遷幸のとき定めた社といわれる(大淀郷土史)。港近くに県天然記念物「大淀の松」がある。「伊勢物語」の斎宮章段(69~75段)の一舞台であるところから当地名は歌枕となり,また斎王の禊所でもあって多くの歌に詠まれている。「大淀の松はつらくもあらなくにうらみてのみもかへる波かな」(伊勢物語72段)。「大淀の禊幾世になりぬらむ神さびにたる浦の姫松」(拾遺集・兼澄)。「如何にせむ今日大淀の浜に来てあやめや引かむ貝や拾はむ」(長久元年斎宮良子貝合)。
【大淀御厨(中世)】 鎌倉期~南北朝期に見える御厨名。
【大淀村(近代)】 明治22年~大正13年の多気郡の自治体名。
【大淀町(近代)】 大正13年~昭和30年の多気郡の自治体名。
【大淀(近代)】 明治22年~現在の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7125755 |




