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勢田川
【せたがわ】


宮川水系五十鈴(いすず)川の支流。御贄(おんべ)川ともいい,伊勢神宮に献上する魚をとった川という。川名は瀬多き川という意味による。宮川と五十鈴川に挾まれた伊勢市の中心を流れる。市南部の鼓ケ岳に源を発し朝川と合流,市街地に入り豊川・清川・檜尻川(それぞれ現在は都市排水路)などを合わせ,下流で五十鈴川と合流して伊勢湾に注ぐ。1級河川。流長7.3km。中・下流には,中世の頃から大湊・神社・二軒茶屋・船江・河崎などの港町が形成され,三河・遠江などからの参宮者や,各地からの物資が陸揚げされた。古い俗謡に「勢田の流の入舟出舟,わけて賑ふ御蔭年」とあり,江戸期(宝永2年)のお蔭参りの時は,375万人もの参宮者があったという(宇治山田市史)。明治30年参宮鉄道,昭和5年参宮急行電鉄(現近鉄)の開通は,勢田川水運による川筋参宮を衰えさせ,第2次大戦後のトラック輸送の発達は,物資の集散地として栄えた河崎・船江の問屋街を衰退させた。昭和49年7月7日の集中豪雨(通称七夕水害)により勢田川流域を中心に1万3,060戸が浸水し莫大な被害を受けた。同50年1級河川に指定され,国の直轄事業として河川改修を行っている。現在,下流域における防潮水門および排水機工事は完了。中流域では,今も両岸に伊勢地方特有の妻入造の町家や土蔵の立ち並ぶ船江・河崎地区で河川拡幅による立退きが問題となり町並み保存の運動が起こっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7127546