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台高山脈
【だいこうさんみゃく】


三重・奈良両県境を高見山(1,248.9m)から南へ,日出ケ岳(1,695.0m)を主峰とする大台ケ原に至る山脈。延長約30km。紀伊山地を構成する主要山脈の1つで,両端の山名から1字ずつとって名づけられた。北は高見山地と直交し,南は牟婁(むろ)山地に続く。また,東は熊野灘に,西は吉野川・北山川の谷を隔てて大峰山脈に面する。北端に近い高見峠付近を東西に走る中央構造線を境に,北には中生代に迸入した花崗質岩類,南には古生代の長瀞(ながとろ)変成岩類や,砂岩・頁岩その他からなる秩父層群が分布する。地形は急峻で,ことに東側に大杉谷の深い峡谷が山腹を削って流下しているが,山頂付近には準平原化の際の平坦面が残っている。わが国屈指の多降水域で,大台ケ原の年平均降水量5,186mmは日本最多。トウヒ・ブナの原生林が広く分布している。山脈越えの交通路は櫛田川・吉野川(紀ノ川上流部)両河谷を結ぶ高見峠(904m)越えが唯一のもの。この道はすでに古代から往来があり,石上麻呂の「吾妹子をいざみの山を高みかも大和の見えぬ国遠みかも」(万葉集巻1)にある「いざみの山」は高見山の古名といわれる。近世には和歌山街道または伊勢街道の名で,南大和・紀伊方面からの伊勢参宮・参勤交代の経路に利用された。現在,国道166号の改修により,車の通行も可能。山地域一帯に広がる原生林が入山を困難にしてきたが,2,3の先覚者の後を受け,古川嵩が明治26年大台ケ原山上に大台教会を設立。以後次第に入山者が増大した。現在,奈良県側から大台ケ原山上にドライブウエーが通じ,当県側からは大杉谷をさかのぼる登山道がある。山脈の北部は室生赤目青山国定公園および香肌峡県立自然公園に,中部は奥伊勢宮川峡県立自然公園に,南部の大台ケ原一帯は吉野熊野国立公園に指定され,自然景観のよく残された観光地として貴重な存在となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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