波多岐神社
【はたきじんじゃ】

上野市土橋にある神社。祭神は大鷦鷯尊。延喜式内社に比定される。伊賀国の三の宮と称し,土橋・西条・東条・山神・印代の総社とされた(三国地誌)。由緒不詳。古老の伝えによると波多岐の名は昔境内に樫木があり,真直であったことから朝廷に献じ旗木としたことに由来するという。近世当社を「宇都可明神」とも称したのは,式内社に比定されまた土橋の氏神でもある現在境内社の宇都可神社を当社から遙拝していたために誤ったという(三国地誌)。この宇都可神社は以前北方の大堀山上にあったが,安政元年の地震で境内地が崩れ,また参詣に不便であることから明治10年字宮田に移転,山宮神社を合併した(社伝)。式内社宇都可神社を当境内社に比定する説(三国地誌・神社覈録)に対し,旧玉滝村内保の「通山社」にする説もあったが,明治9年教部省より当社とされた。宇都可神社は貞観15年に神階従五位下に昇叙(三代実録)。明治36年郷社列格,同39年神饌幣帛料供進社に指定,同40年境内社宇都可神社は旧府中村内5大字の氏神を合併。境内社府中神社は同村内12社を合併。例祭日10月18日,願解角力は2月祈年祭の豊作願かけに対する奉納相撲。宮座祭4月18日,10月17日。「しうし」とも称し氏子5大字が各字別々の境内参籠殿で宮座行事として,春は宇都可神社に合併の各字の氏神を祀り,秋は波多岐神社を祀る。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7128664 |