京都
【きょうと】

古代「平安京」のあった地。現在は市名および府名となっている。その地域は府全体をさすこともあるが，「平安京」の置かれた京都市市街地に限定されて使われることが多い。「京都」は中国において京師などとともに都を表す一般名詞であるが，日本においては，都を表す語として，京師よりも京都が多く用いられていた。京都が平安京を指す固有名詞として用いられた早い例は，永延２年の「尾張国郡司百姓等解」に「旧例に非ず，国雑色人并に部内人民等夫馬差し負い，京都・朝妻両所に雑物を運送せしむるを裁断せられんことを請う」である。京都が固有名詞化するのは院政期以降で，政治の中心地が平安京からさらに東の白河へと広がり，「京・白河」の語がうみ出されるに至り，平安京の名称は実質的意味をもたなくなったことによる。それに代わって「京都」が定着化していくが，一般には「京」が多く用いられたようである。しかし，京都と呼ばれる範囲が白河までをさすかは明らかではない。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7139443