新湊川
【しんみなとがわ】

神戸市兵庫区から長田区に南西流する川。流長4,560ｍ。天王谷川（地形図では天王川）と石井川との合流点のすぐ南から会下山トンネルを経て西進し，長田区に入り，苅藻川を合わせて大阪湾に注ぐ。明治30年までは合流点からほぼ直線的に南東流し，現在の神戸駅南方で大阪湾に注いでいた。この旧湊川は天井川をなし，湊川駅付近では周辺部との比高は約10ｍで，洪水時の被害は甚大であった。明治期に入って付替え工事が実施され，同35年に現在の流路が完成した。一方，旧湊川の河川敷は土砂が高く堆積した状態にあり，その除去工事が進められ，兵庫と新興市街地神戸が，１つの連たん市街地を形成する契機となった。明治38年に地ならし工事が完成し，現在神戸のターミナルの１つ新開地が出現した。また，現在の湊川駅付近にある比高約10ｍの旧河床下には，大正10年湊川トンネルが完成し，市電が通過するという珍しい光景が見られた。現在の新湊川流域は，上流は住宅・文教地区，下流はゴム加工業などの中小工場地区となり，コンクリートで固められた下流部の河床の地下は神戸市営地下鉄の一部となっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7159734