石上
【いそのかみ】

旧国名:大和
大和川に注ぐ佐保川支流高瀬川左岸に位置する。現在の天理市石上町にとどまらず,布留町の石上神宮を中心とした布留川の上流域から中流域にかけての範囲を示すと推定される。石上神宮鎮座地の呼称で,磐座の上に布都御魂を奉斎したことから磐上と呼ばれ,それがやがて石上と称されるようになったものか。または布留川の磯の上,石の多い場所などの意か(天理市史上,地名語源辞典)。「万葉集」では石上の地名は独立して用いられず,石上と布留が連称され,やがて石上は布留(降る)の枕詞となっていく(664・1353・1768・1787・3013など)。なお石上山(斉明紀2年是歳条)や石上池(同前6年5月是月条)を当地に比定する説は検討を要する。なお「万葉集」には「石上布留の神杉神びにしわれやさらさら恋に逢ひにける」(1927),「石上布留の神杉神さびし恋をもわれは更にするかも」(2417)とあり,「古今集」には「ならのいそのかみでらにて郭公のなくをよめる,いその上ふるき宮この郭公こゑばかりこそむかしなりけれ」(144)と詠まれる。
【石上(古代)】 大和期から見える地名。
【磯上(中世)】 鎌倉期から見える地名。
【石上村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【石上(近代)】 明治22年~昭和33年の大字名。
【石上町(近代)】 昭和33年~現在の天理市の町名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7165417 |




