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菰川
【こもがわ】


薦枕川とも書き,「こもまくらがわ」「こもまがわ」とも称した(和州旧跡幽考)。奈良市法蓮寺町の北,平城(なら)山丘陵東側斜面を水源とし,大安寺町付近で佐保川に合流する。佐保川の支流。一級河川。流域面積8.51km(^2),幹川流路延長5.8km。典型的な平地河川で,古代より氾濫も多く,菰川が直角に曲流する地点(現国道24号と県道西九条佐保線の交差点北側)は,佐保川に最も近接しており治水上の対策から佐保川への菰川放水路が昭和56年に完成。河道は直線状の人工河道が多く平城京造営に関係している。昭和50年10月に行われた左京3条2坊6坪の調査では,平城京造営以前の旧河道を利用した貴族の園地が発掘され,奈良市史跡文化センター内に保存されている。河川名の由来は定かではないが,「大和志料」によると高橋川を薦枕川と称する理由は,「古事記」武烈天皇の影媛の歌「いそのかみ布留をすぎ薦枕高橋すぎ」にみられる高の枕詞に由来するとしている。平城京の旧河床跡(稗田遺跡)の調査では,川床から祭祀遺物や薦(こも)(荒く編んだむしろ)に包まれた子供の死体が発掘されており,河川と埋葬との関係は深い。薦は虚無とも書き薦僧の略であるところから埋葬地としての川という意味とも考えられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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