大御輪寺跡
【だいごりんじあと】

桜井市三輪に所在する寺跡。大神神社の神宮寺として栄え,大神寺・三輪寺ともいう。大神神社参道の二の鳥居を北へ入った大直禰子神社(若宮社)周辺がかつての寺域である。明治初年の神仏分離に際し廃寺となり,旧本堂は大直禰子神社の本殿(国重文)とされたが,ほかに三重塔・禅堂・護摩堂・経蔵・鐘楼・南門・裏門などがあった。仏像や什宝の多くも失われたが,本尊十一面観音立像(国宝)は桜井市聖林寺に,二天立像(国重文)は天理市長岳寺に,地蔵菩薩立像(国宝)は法隆寺にそれぞれ移されている。この寺に関する史料としては,「延暦僧録」第二沙門釈浄三菩薩伝に,文室真人浄三(智努王)が鑑真から菩薩戒を受けたのちに,大神寺で六門陀羅尼経を講じたという記載があり,浄三の薨じた宝亀元年より以前に大神寺が存在したことは疑いない。そのほか「今昔物語」や「多武峰略記」にも三輪寺の名がみえる。採集された数少ない瓦の中に,飛鳥の川原寺と同笵の軒丸瓦があり,その出土地がこの近辺であるとすれば,その創建は天武朝頃に遡る可能性がある。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7167745 |




