布留
【ふる】

旧国名:大和
振とも書く。大和川支流布留川中流域に位置する。朝鮮語で「集落」を意味するフレの語に由来するか。古来歌枕として著名。石上神宮は布留の社とも称され,石上と同意に用いられた(蜻蛉日記・枕草子・栄花物語)。建御雷神が葦原中国を平定した際に帯びていた横刀の名は佐土布都神・甕布都神・布都御魂と称し,石上神宮に伝来したとされ(古事記神武段割注),「石上振神宮」(履中即位前紀)・「石上振之神榲」(顕宗即位前紀)・「石上坐布留御魂神社」(延喜式神名上)とも表記されるので,物を断ち切る意のフツが刀の名に付けられ,その名が変化してフルになったとも考えられる。神器を振るい揺るがして魂を鎮めるため,あるいは古(ふる)の義とする説もある(大和志料上)。「いそのかみ」は「ふる」(布留・古・降る・振る)にかかる枕詞となる。「万葉集」には「石上布留の神杉神さびにしわれやさらさら恋に逢ひにける」(1927),「石上布留の神杉神さびし恋をもわれは更にするかも」(2417)などと詠まれている。
【布留(古代)】 大和期から見える地名。
【布留(中世)】 平安末期から見える地名。
【布留村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【布留(近代)】 明治22年~昭和33年の大字名。
【布留町(近代)】 昭和33年~現在の天理市の町名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7169284 |




