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宇治
【うじ】


旧国名:紀伊

紀ノ川下流左岸沿いに位置する。地名由来について「続風土記」に「凡て川に傍る地に宇治と名くるもの多し,或説に宇治は内の義なりといへり,此地紀ノ川の内にあるを以て呼来るか」と見える。「日本書紀」景行天皇3年条に「紀直が遠祖菟道彦が女影媛を娶りて」と見える。「菟道彦」は,当地に住む男の意味と思われるが,同一人物が「古事記」孝元天皇条では「宇豆比古」と表記されており,「うずひこ」とよむべきと思われる。「宇治」が「渦」の転訛であるとすれば,古代の紀ノ川が,当時の本流であった現和歌川へと,この付近で流路を大きく南へかえており,当地は外淵部にあたることから,紀ノ川の水が大きく渦巻く地にあたっていたと考えられる。
宇治保(古代)】 平安期に見える保名。
宇治郷(中世)】 室町期から見える郷名。
宇治村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7170561