白髪峠
【しらがとうげ】

白髪畑(しらがはた)峠ともいう。長峰山脈の１つで，標高460m。有田(ありだ)郡金屋町上六川から海南市東畑に越える峠。昭和50年海南カントリークラブのゴルフ場ができたため，峠道は廃道になっているが，往時は熊野・日高方面から庶民の伊勢参りの主要路であった。上六川の登り口に，今なお「右いせ」の道標が残る。現在峠の西方に県道海南金屋線が改修され，有田郡と海南市の交通を至便にしている。また，峠付近はかつて紀伊徳川家の狩場で，溝之口御殿が置かれ，禁猟区に指定されていた。そのためイノシシ・ウサギ等獲物が増え，農作物が荒らされたらしい。俗謡に「寝てて食われる白髪畑，起きて働く阿呆もある」と歌われ，その間の事情を物語っている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7172005