福井峠
【ふくいとうげ】

長峰山脈の支脈黒沢山系に位置し，海草郡野上町福井の西福井にある峠。標高155m。かつて峠道は小川通野上往来と呼ばれ，野上町と有田(ありだ)郡清水町を結ぶ交通の主脈で，長峰山脈の札立峠を経由して，竜神街道に通じていた。昭和11年県道三田生石口停車場線が改修され，交通の中心が東に移ったため，今日峠の交通量は激減し，県道奥佐々坂井停車場線として，わずかに命脈を保っているにすぎない。福井の名の起こりについて「続風土記」に「大師の井なりとて清水の湧出する井あり水の噴涌(ふきわく)の義にて布久井といふなるへし福井と書るは好字に改めたるなり」とある。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7173358