渡りの山
【わたりのやま】

江津(ごうつ)市渡津町の山。柿本人麻呂の「……渡りの山の黄葉の　散りの乱ひに妹が袖　さやにも見えず妻隠る屋上の山の……」（万葉集巻２）の「渡りの山」は，古代山陰道の江西駅から江川(ごうのがわ)を渡る江東駅付近の山波をさしたといわれ，当地に比定される（万葉集新講・石見誌・石見外記など）。また一説には，邑智(おおち)郡川下村坂本（現桜江町）の甘南備寺(かんなみじ)山（万葉集古義・石見名所集など），島の星山（八重葎）などに比定する。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7181929