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御調川
【みつぎがわ】


1級河川芦田川水系の支流。御調郡久井町江木東方山中に源を発し,三原市から御調郡御調町を経て府中市南部で芦田川と合流する。流長34.2km。昭和5年5月に河川法の施行を受ける。芦田川の最大の支流。上流部で世羅台地面を緩やかに流下し,下流部では断層線に並行し直線状の河谷を呈す。「和名抄」では御調郡名を三豆木,「万葉集」では水調,中世の「高野山文書」では三調とそれぞれ記し,古来陸海の交通の要衝であった。当河川上流の御調町丸門田には白鳳期の本郷平廃寺跡があり,付近に御調郡衙が所在したと考えられる。また,河川に沿い古代山陽道が通じ,同町大字市は「延喜式」の者度駅の故地とされる。府中国府と西方安芸国沼田郡家を結ぶ最短の経路であった。中世には当河川を境に御調北条および南条に区分され,条里遺構も散見される。のちに御調北条荘は河北荘,御調南条荘は河南荘と称し,丸河南はその遺称である。石清水八幡宮は神村荘(御調町神)と御調別宮(八幡荘,三原市八幡町)を当河川の主要地点に置き,宝塔院領12か所の1つとした。現在の御調八幡宮(三原市八幡町宮内)と高御調八幡神社(御調町丸河南字長院)は往時を物語っている。伏見稲荷社領の杭荘(現在久井・大和町域の杭荘8か村)には,稲生神社(久井町江木)が所在し,有名な領家・地頭方による大祭が行われている。また,妙香院領の堺荘(久井町坂井原)が成立し,御調町市は中世高野山領大田荘と尾道浦とを結ぶ石見路(赤名越)により近世には宿駅が置かれ在郷町となった。江木(久井町)は牛市として有名で,広範な圏域を画している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7191034