100辞書・辞典一括検索

JLogos

26

蝙蝠穴
【こうもりあな】


美祢(みね)郡秋芳(しゆうほう)町秋吉にある小石灰洞。広谷ポリエ北部に開口する長さ約85m,最大幅約10m,標高約80mに2つの洞口を持つ矩型の横穴で,2つの洞は洞口から32mで結合する。第2主洞より洞口が2m低い第1主洞から,洪水時の地下水が排出される。地下水は秋芳洞の観光道出口がある矢ノ穴から秋芳洞の下を通って本洞に出るものと,秋芳町と美東(みとう)町との境界付近にある大久保の小穴(竪横複合型)からのものが認められ,狭義の秋吉台南部を集水域とする。空気の循環が観測され,洞内の気温は,洞口から80m付近の外界からの通気口があるらしい所を除くと洞奥ほど恒常性を示し,13~15℃以下に保たれている。湿度はほぼ100%,このような環境を利用して秋芳町立秋吉台科学博物館では昭和36年から本洞を生物実験室として活用している。利用面積約750m(^2)。実験室は第1主洞の入口から洞窟棲昆虫の昆虫室,陸棲動物のうちホラアナゴマオカチグサやアキヨシホラアナミジンツボなどの軟体動物を飼育する第4実験室が続く。両洞合流点は第1実験室で,地下水を絶えず循環させ,ニホンヨコエビ・シコクメクラヨコエビ・ミナミヌカエビなどの地下水棲動物の飼育・実験・観察が行われている。その奥には陸棲動物のうちヤスデのほかオオゲジ・イッスンムカデなど多足類を飼育する第2実験室,洞穴動物を集めたアキヨシヒメグモ・カマキリザトウムシ・アキヨシウロカニムシなどのほか,アカネズミ・クマネズミなどを観察する第3実験室がある。洞央部にはこうもり室がある。秋吉台の洞窟に棲む主要なコウモリは,ユビナガコウモリ・モモジロコウモリ・キクガシラコウモリで,休眠や冬眠をする天井の微地形の差異や生態についても研究されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192807