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西方
【にしがた】


旧国名:周防

屋代島中央部に位置し,湾入した入海の海岸中央部の砂州に立地する。地名の由来は,中世島末荘西方の中心が当地であったことによるという。また,西方村由緒書には村名由来に関して次のような悲話がある。古くは本郷といっていたが,当地の古城山の城主が一門家老宇野主膳を召し連れて九州へ退去の時,主膳は足手まといになる妻子を家来に預けて落ちていった。妻は西の方九州を恋こがれて狂気となり磯ケ鼻から身を投げて海に沈んだ。それ以後,「西の方こそ恋しけれ」と嘆く亡魂の声が夜毎聞こえ,たたりもあったため我島という沖の島へ亡魂を祀った。この時,今より後は当村を西方と呼ぶようにとのお告げがあったので西方と呼ぶようになったという。下田西小浜に明治末期まで横穴式古墳が2基あり,多数の須恵器が出土した。西方の眷竜寺墓地には,鎌倉後期のものと推定される宝篋印塔がある。長崎の集落の東方丘陵の突端に室町期から江戸初期にかけての様式を持つ五輪塔がある。また東方丘陵中腹には多数の五輪塔群がある。下田と船越の間の丘陵中腹の洞松庵跡と伝えられる地に五輪塔14基以上,一石五輪塔3基以上,宝篋印塔の蓋1が確認された。内浦の西方と外浦の船越・外入(とのにゆう)との中央に宇野筑後守の居城跡と伝える城山がある。山頂から南は豊後辺・予州宇和島尾鼻岬,北は芸州厳島・岩国辺まで見渡されるので昔の遠見場所であったかという(注進案)。
西方村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
西方(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7193957