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有木
【ありき】


旧国名:讃岐

在木とも書いた。讃岐山脈の西端雲辺寺山西側の渓谷に位置し,雲辺寺山の山嶺で阿波国三好郡に接する。東には四国霊場八十八か所第66番札所で,萩原寺地蔵院の奥の院である雲辺寺(三好郡池田町)がある。全域が山岳で有木川・前田川の谷間,上流の本村,下流の落合の集落からなる。古くは五ケ山といい,有木谷・海老済谷・田野々谷・内野々谷・井関の谷と各谷に名がつけられた。地名の由来は,有付(ありつ)の意とも,木が多くあることによるともいう(阿弥陀堂来由記)。「西讃府志」によれば,有は荒の借字で,有木は荒木あるいは荒岸のことであるという。「生駒記」には,小松少将有盛が当地に隠れ住んだという平家落人伝説が伝わっている。また,産土神三宝荒神には有盛のものと伝わる太刀があった(現在散逸)。同太刀については,慶長年間生駒一正によって高松に持ち去られたが,怪異が続いたため,祟を恐れて早々と返納されたという口伝もある。有盛伝承との関係は未詳だが,「西讃府志」には,鎌倉の落人有木左衛門・井関左衛門・比田左衛門・川内兵衛・関谷兵衛の5人が当地にきて,有木・井関・田野々・和田・関谷の諸村を開いたという開拓伝説がある。なお,字揚盧木堂で7,000万年前の植物というコダイアマモの化石が発見されている。
有木村(近世)】 江戸期~明治23年の村名。
有木(近代)】 明治23年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197784