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風戸
【せと】


(近代)明治中期~現在の通称地名。直島四浦(高田浦・積浦・宮ノ浦・風戸浦)の1つ。明治23年直島村,昭和29年からは直島町の通称地名。江戸期には「ふと浦」とも呼んだが,幕末に混用が始まり「せと」に定着。直島の北端,寺島を抱える湾入部の奥に位置する。地名は,前面に寺島を置き,四囲戸を立てたように風を防ぐ天然の良港から名付けられたというが(故新伝・直島旧跡順覧図会),地形からみて「ほと」起因説が妥当か。寛文12年の家数4・人数21,明治36年の戸数10・人口60。天正10年,直島領主になった高原氏が,この地に児島半島との間の海上警備のため出城を構え(故新伝),また別荘を建てて参勤交代の西国大名を接待したという(直島旧跡順覧図会)。付近にある塩俵は,近世海難史上に有名。宝暦年間から湾内の浅瀬に塩田が築造されており,明治18年の反別4町余。大正6年三菱合資会社の銅製錬所が当地に設置され,以後,付属の社宅設置や商店の進出などで人口急増をみたが,昭和10年に至り工場拡張のため全集落が立ち退き,宮ノ浦地区に新宮ノ浦を興して集落の歴史を閉じる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7198894