安居川
【やすいがわ】

１級河川仁淀川水系の支川。吾川(あがわ)郡池川町東部を南流する。流路延長14.4km，流域面積62.4km(^2)。愛媛県境にそびえる筒上山南斜面の国有林地に源を発し，仁淀川支流の土居川に合流する。御荷鉾構造線北の複雑な地質を南北に流れて変化に富む渓谷をつくり，紅葉する樹林と調和して流域一帯は安居渓谷県立自然公園に指定されている。流路に沿って古くから往還路が開け，手箱山と筒上山の鞍部を越えて石鎚神社への参拝道として人の往来が絶えなかったという。上流にある安居鉱山跡は土佐藩の主要銅山として，18世紀初頭から採掘が続けられ，鉱石を運ぶため牛馬の通れる道がついていたという。昭和に入ると，国有林開発のため安居宮ケ平から大滝神社の上部まで，森林軌道が敷設されたが，現在は廃止され，樫山まで国鉄バスの路線が通じている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7208480