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今津湾
【いまづわん】


博多湾の南西部にある小湾入。福岡市西区に属し,北東は能古島,東は姪浜小戸山,南は生の松原・長垂山・今宿海岸,北西を毘沙門山に囲まれたほぼ円形の湾で,西は古糸島水道の名残の瑞梅寺川河口の今津潟に続く。今津潟北岸の今津は筑前五か浦の1つとして知られたが,今は港の機能を全く失い,東隣の浜崎が漁業の中心となる。南西岸の今宿は江戸期の筑前21宿の1つで,唐津街道の宿場町としてだけでなく,糸島各地の年貢米を収める倉が置かれ,瑞梅寺川河口の今宿横浜から大坂方面へ船積みされた。横浜の南にある標高80mの今山は,弥生時代の大型蛤刃石斧の製造所跡として知られる。今宿は昭和16年,福岡市に編入し,国道202号とバイパス,筑肥線の福岡市営地下鉄との相互乗入れによる電化などにより,近年急速に都市化が進む。今津湾南岸は中央部の長垂山を挟んで東側の生の松原,西側の今宿海岸に分かれる。長垂山からは,国天然記念物の含紅雲母ペグマタイト岩脈が海中に延びる。東の生の松原は九州大学の演習林を中心に,市街地の最寄りの海水浴場としてにぎわう。西の今宿海岸は道路の拡幅で松林は失われた。両海岸とも砂丘の中に元寇防塁跡が残存する。今津湾一帯は生きた化石のカブトガニ生息地としても知られ,保護と漁業との間で問題を投げかけている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7209318