小倉港
【こくらこう】

北九州市小倉北区の砂津川・紫川・板櫃川の河口を利用して形成された港湾。特定重要港湾である北九州港の一部をなす。小倉は小笠原氏の城下町として発展したが，港は城に近い紫川河口が船着場として利用されたにすぎず，明治17年に波止場が築造されたのが港湾整備の最初であった。同33年築港計画が立案されて調査が行われ，大正４年に高浜に荷揚場を築く一方，同14年に小倉鉄道・浅野製鋼により埋立事業が開始され，近代的港湾整備が始まった。昭和６年紫川港，同12年に砂津港が完成する一方，同10年に小倉港は貿易港として一般開港に指定されたが，同15年には軍事体制の強化により関門港に合併されて国の管理下に置かれ，同16年日明(ひあがり)臨海工業地帯造成の一環として日明港が竣工した。戦後は同25年に港湾法施行に伴って再び小倉港となり，翌年９月特定重要港湾の指定を受けたのち，同29年小倉港務局が発足したが，同39年に門司港・洞海（若松）港とともに北九州港として統合された。北九州港の中では内貿の小倉港として発展してきたが，現在，砂津泊地からは松山（愛媛県）・上対馬（長崎県），日明泊地からは阪神・東京方面への長距離フェリーが就航，山口県下関市彦島の荒田港へは山九渡船も就航している。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7211126