西川
【にしかわ】

鞍手郡鞍手町から遠賀(おんが)郡芦屋町に流れる１級河川。流長16.7km，流域面積78.5km(^2)。遠賀川水系に属する。鞍手町室木の六ケ岳北部に源を発して北流，鞍手町内で長谷川・南田川・北田川，下流の遠賀郡遠賀町で吉原川・戸切川を合わせ，芦屋町南部の祇園町で遠賀川に合流する。水質は，極度に鉄分が多く，水酸化第二鉄が全域の川床に沈殿して赤褐色を呈し，魚類は生息せず，流域2,000haの農地に悪影響を及ぼしている。流域は標高１ｍ程度の低湿地が多く，湿田となり二毛作の不可能な土地が多い。これは，かつて遠賀川流域に深く入り込んでいた旧遠賀潟の西部を流れていることと，石炭鉱害の影響を受けたことによる。流域には縄文・弥生遺跡や古墳が数多く分布し，条里制が広く実施されていたため，五反田・大坪・縄手など条里にかかわる地名も残る。昭和28年の大水害で25か所に及ぶ河川被害を受け，同32年まで中小河川改修復旧工事が行われ，整備された。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7213503