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冷泉津
【れいぜいつ】


旧国名:筑前

(中世)室町期から見える地名。筑前国那珂郡のうち。中世博多津の異称。「世宗実録」世宗5年(応永30年)7月己丑条に「博城冷泉津」と見える(李朝実録之部1/日本史料集成)のをはじめ,同年9月丙申条には「石城冷泉津」が見え,室町以降,朝鮮通交に従事する博多商人が頻繁に用いた呼称であった。文明3年に朝鮮政府の申叔舟が編んだ「海東諸国紀」にも博多は冷泉津とも称されることが見える。一方,「冷泉津」が日本側の史料に見えるのは戦国期であり,天文7年6月24日の大宰府宣に「冷泉津善導寺」が見える(善導寺文書/博多史料4)。また,同11年11月6日の大友義鑑書状にも「冷泉津興浜」が見える(大友家文書録/同前)。なお,近世に成立した「博多古図」では,博多の西方,那珂川の河口付近の湾入を冷泉津としているが,文献史料から見る限り,冷泉津は博多津の異称として使われており,この河口部を冷泉津と称したかどうか確認できない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7215703