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神集島
【かしわじま】


唐津(からつ)市湊町の浜地区の女瀬ノ鼻から北東750mの海上にある島。面積1.42km(^2),人口912(昭和50年)。島名は,神功皇后が三韓遠征の折,この島を訪れ,戦勝祈願のため軍神たちを集めたことにちなむという(松浦古事記)。「太宰管内志」に柏(かしわ)島とある。「万葉集」巻15に「肥前国の松浦郡狛島(こましま)の亭(とまり)に船泊てし夜……」と題する7首があるが,狛島は柏島の誤りという。「神集島」の表記は「松浦家世伝」の「法印公伝五」の慶長5年の箇所に,「神集嶋」とあるのが早い。この島には弓張山・産子(うぶこ)山・子濯(こすぎ)川・評定石など神功皇后の伝説にちなむ地名が多い。この島は大陸に至る中継地として,遣唐使などが立ち寄った所で(県史),古代交通史上重要な拠点であった。島はメサ状の玄武岩台地で,その形状から軍艦島ともいう。西北部に砂嘴があり,天然の防波堤をなし漁港が立地している。産業は,漁業が中心で,昭和10年ごろまでは,山口県の湯玉より大謀網が入り,この技術を修得した多くの島民は,船頭として遠く壱岐・対馬・平戸諸島・五島列島から鹿児島県・宮崎県・山口県・島根県・福井県,さらに朝鮮から旅順方面に指導に出かけていたが,そのころ高知県の志和より落網が導入され,全国の大謀網も逐次,落網に切り替えられるに及んで,この技術指導は不要となった。現在では,アジ・サバの巾着網と落網を中心に,小型定置網・エビ漕網・ハマチの養殖などが盛んである。農業は台地上に畑作・果樹園芸のほかに畜牛や鶏卵も重要な現金収入源である。島は玄海国定公園の一部を占め,年間4万人近い観光客や釣人が訪れている。また,ハマユウの群落は唐津市の天然記念物に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216442