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大村湾
【おおむらわん】


県の中央部にある湾。面積320km(^2)・周囲280km。湾口に針尾島があり,佐世保湾とはわずかに針尾瀬戸・早岐瀬戸で通じるのみの閉鎖的湾である。水深は,中央付近で約18m,西部で約20m,針尾瀬戸南部で25~35mと東に浅く,北西に深い。小串湾・大串湾・形上湾・村松湾・時津湾・長与浦・津水湾などの支湾があり,また西海岸を中心に数十の島が散在している。東部海岸線は郡川による大村扇状地をはじめ,川棚川・彼杵(そのぎ)川などによる堆積地形がよく発達し,比較的緩やかな形状を呈し,一方,西部はリアス式の複雑な海岸線をみせている。流入河川は川棚川・彼杵川・郡川・鈴田川など24水系35河川で,1日約620万m(^3)の水量があるといわれる。湾内水は湾口が狭いため,外洋水との交換が不十分であり,そのため生活排水の流入による栄養塩類の増加が赤潮発生の原因となり,さらには特に湾の東部から南部にかけての泥土のヘドロ化が,海水の無酸素状態をつくるなど,汚染が進行している。湾内漁業は小型底引網・巻網・刺網などが中心で,主要漁獲物はマイワシ・カタクチイワシ・エビ類・ナマコ・マアジ・マダイ・カレイ・ボラなどである。総漁獲量が減少・停滞傾向にある中で,マイワシ・エビ類は増加傾向にある。また,12月を中心とした冬のナマコ漁は古くから知られている。養殖はハマチ・真珠・マダイ・カキ・ノリなどで,全体的に頭打ち傾向の中で,真珠・マダイの生産が着実に伸びている。昭和58年度総漁獲量は,6,889t(マイワシ2,204t・カタクチイワシ494t・エビ類413t・ナマコ375tなど),養殖業は,2万4,302t(ハマチ1万8,730t・マダイ4,899t・真珠1万2,213kgなど)。湾全域は,昭和41年に大村湾県立公園に指定され,川棚・松原・馬込などには海水浴場が,西彼杵半島側には動植物園をはじめとするレジャーランドがみられる。湾東部には箕島を埋め立てて昭和50年に完成した世界初の海上空港長崎空港があり,大村・西諫早(にしいさはや)・喜々津・長与・時津・琴海(きんかい)などにはニュータウンの建設が進むなど,新しい発展がみられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7219945