黒崎
【くろさき】

旧国名:肥前

西彼杵(にしそのぎ)半島西岸南部に位置し，東シナ海に面する。東に牧野岳・土佐賀山などあり，山系から流れ出す出津(しつ)川・黒崎川などの流域にわずかな田畑が開ける。多くは山岳・原野で，海沿いに集落がある。出津の浜には縄文中期から後期の土器や石器が出土しており，中には西北九州に材を求めた石鋸もあって，数千年以前に遠方との文化交流があったことを示している。この出津遺跡からは弥生式土器も出土している（外海町誌）。地内には田中古城跡や長光寺跡がある。「大村郷村記」は田中の古城について「黒崎大門口より壱町程北の方田原の内小島にあり……三方に堀の形ありと云伝ふ……小島の辻に城の内と云処あり……古塚あり，是を首塚と云伝る也。黒崎大門口といふは，右田の中の城の大門なりしと云伝」と記すが，時代や領主などは未詳。また，長光寺跡については「今ハ畠也，下ケ名を長光寺と云ふ，由緒不知」，古寺跡については「長田郷の内にあり，今ハ畠也，下名を古寺と云ふ，由緒不知」とある。
【くろさき(中世)】　南北朝期に見える地名。
【黒崎村(近世)】　江戸期～明治22年の村名。
【黒崎村(近代)】　明治22年～昭和30年の西彼杵郡の自治体名。
【黒崎(近代)】　昭和30年～現在の地区名。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7220533