泊郷
【とまりごう】

(近代)年不詳~現在の行政区名。明治22年奈留島村,昭和32年からは奈留町のうち。五島列島中央部の奈留島に位置し,東に東風泊湾,西に前島,末津島がある。幕末に海防のため五島藩では遠見番所を各地に設けたが,当地の遠目番岳もその1つ。また,要所に台場を設けて大砲を備えたが,泊の台場は万延元年荒木亀太郎が自費を投じて築いたもので,石火矢2挺(300目玉・150目玉),打手8人で警備に当たった(近古年代記/郷土奈留)。昭和45年の人口1,111(男543・女568),同57年世帯数242・人口755。当地は地名のとおり船の泊まるのに適した港で,遣唐使船が立寄って薪炭・飲料水・食糧を補給したという。地内に石囲の井戸があり,良質なうえに水量豊富で,遣唐使の井戸と語り継がれて現在も郷民に利用されている。また養殖漁業が営まれている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7221854 |