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神ノ池
【かみのいけ】


直入(なおいり)郡久住(くじゆう)町にある池。久住山(1,787m)の頂上近くの直径100mの火口跡,または火口原湖をいう。阿蘇国立公園のうち。「亀山随筆」に,「神池あり,昔より甚霊異ある池なり」とある。岡藩主中川久清は九重山で狩をした時,足軽に命じてこの池の水を汲ませた。その時,晴れていた空がにわかに曇って風雨が池に波を起こした。あわてた足軽が池に水を返すと,風雨はほどなくやみ,空も晴れたという。また,玖珠(くす)郡湯坪村の猟師が鹿を割いた血刀をこの池で洗ったところ,その夜のうちに池の水が枯れ,上の山の窪地に1つの池ができた。そして,はじめの池は水が絶えてしまったとの伝説もある。「豊後国志」にも「上に,二大池あり,一は空池(からいけ)と曰い,水無く,深さ三百仭。一に猪鹿狼寺(いからじ)と曰う。漾漾湖の如く,その深さを知らず,神異常多し。衆皆之を懼る」とある。このことから,今の空池はなんらかの理由で水が枯れ,高いところにあった御池(おいけ)に水がたまったことを示している。この空池が火口跡,御池が火口原湖として久住山頂にある。変化の妙を与えている。特に御池に近い中岳・天狗が城の勇姿が映えるとき,池は神聖味を帯びる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7229852