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富島町
【とみしまちょう】


(近代)昭和12~26年の東臼杵(ひがしうすき)郡の自治体名。戸高山南麓に位置し,東は日向灘に面する。地内を塩見川・富高川が流れる。富高町・細島町が合併して成立。合併各町の大字を継承した5大字を編成。合併2か町の各1字をとって町名とした。旧富高町役場を富島町役場とし,旧細島町役場を支所とした。富高町は細島という良港を得ることにより,細島町は背後の日知屋を活用することによって工業港・貿易港としてお互いの町の発展を願い合併した。世帯数・人口は昭和12年3,759・1万9,250,同25年5,423・2万6,122。昭和12年細島町の警察署が富高に移り,富島警察署となった。同18年南方の油田地帯から海上輸送してきた石油を精製するため,三菱石油会社富島工場の工事が現在の日知屋畑浦の地で始まったが,空襲によって打撃をうけ,終戦とともに工事は取りやめになった。同21年には日本電気製鉄富島工場(現日向製錬所)の炉に火が入る。また同年に特別都市計画法に基づく戦災都市の指定をうけ,土地区画整理・街路網の整備などの戦災復興都市計画事業が開始された。同22年細島国民学校・日知屋国民学校・富高第一国民学校・富高第二国民学校・不動寺国民学校・財光寺国民学校はそれぞれ小学校になり,富島東中学校が旧富高海軍航空隊の兵舎跡(現日知屋小学校付近)で開設された。富島西中学校は三菱石油会社の建物(現富島高校付近)を利用して授業開始。同23年東西の中学校は統合して富島中学校となる。同年不動寺小学校は富高小学校に合併。県立富高農学校は県立富島高校となり,同25年から普通・商業・農業・林業・家庭の各科が設けられた。昭和22年富島簡易裁判所が設置され,同25年に現在の上町に移転。昭和22年の全有業人口1万720のうち,農業人口は5,127でほぼ半数が農業従事者であり,干害などの被害で苦しめられていたが,昭和14年から着工していた耳川分水による全長4,500mの富高用水路が同23年に完成し農家を喜ばせた。同25年度の総生産額4億6,299万円余,うち農産1億4,537万円余・養蚕22万円余・畜産532万円余・林産3,135万円余・水産3,303万円余・工産2億4,767万円余,同年の民有有租地のうち田718町・畑707町2反・宅地124町・池沼1町6反・山林755町2反・原野790町5反,総農家数2,094戸,うち専業農家1,048戸・兼業農家1,046戸,農用地総面積1,223町9反,うち田568町9反・畑526町9反・樹園地21町・その他107町1反(県統計年鑑)。天然の良港である細島港は昭和24年の外国貿易の再開を機に貿易港として指定をうけ,同26年には旭化成倉庫・臨港道路の舗装も完成し,にぎわいはじめた(日向市の歴史)。昭和26年日向市の一部となり,町制時の5大字は同市の大字に継承。




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「角川日本地名大辞典」
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