海南諸島
【かいなんしょとう】

琉球列島の古語。明治20年頃の田代安定の命名による。田代安定著「沖縄結縄考」の序文「田代安定氏に就いて」に，「この南海諸島といふのは当時普通に行はれた呼称らしいが，田代氏は之を転倒して海南諸島と改称するを適当なりとし，明治廿一年東京地学協会に於ける講演でもこの事を述べてゐる」とある。田代は明治10年代後半から20年代半ばに，沖縄，特に八重山諸島での民情視察から，のちに植物学・人類学調査に携わり，「海南諸島風土紀要史考篇」「海南諸島宗教考篇」「海南諸島単語篇」などの論考を発表した。海南諸島の名称は一般に流布しなかったが，柳田国男「海南小記」の標題にその名をとどめている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7240172