白幡村(近世)

　江戸期～明治22年の村名。足立【あだち】郡浦和領のうち。古くは高鼻荘に属したという。はじめ幕府領，宝永元年旗本松平氏の知行，同２年再び幕府領，享保16年村の一部は旗本藤堂氏の知行。検地は元和９年・元禄３年。新田検地は明和５年・享保16年。持添新田は浦和宿と与野【よの】町の中間にあり，砂原新田と称した。村高は「田園簿」で598石余，うち田432石余・畑165石余，「元禄郷帳」633石余，「天保郷帳」662石余。村の規模は東西７町余・南北10町余。化政期の家数80軒。助郷は中山道浦和宿へ出役。藤原秀郷が勧請したという八幡社がある。神社はほかに富士浅間社・神明社など。寺院は新義真言宗医王寺。溜井（白幡沼）は拳【こぶし】が池と呼ばれた。高札場は村の西部。小名本宿にあった宿駅がいつの頃か浦和に移って名だけ残ったといわれるが不詳。小名はほかに八幡ノ上・樋坂・堂ノ上・道東・向馬場・タヤノ前・亀ノ尻・四段田・五段田・子ノ神町・内正音・外正音。なお村内を中山道が通っている。明治４年埼玉県に所属。同７年南浦和小学校開校。同９年の戸数103・人口569，馬９，耕作船38，人力車２・荷車９。物産は米・大麦など。浦和宿・大戸村・中里村・針ケ谷村の間，根岸村・文蔵【ぶぞう】村・大谷場村・浦和宿の間に飛地がある。同12年北足立郡に所属。同22年六辻【むつじ】村の大字となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7288128