神在村(近世)

　江戸期～明治22年の村名。筑前国怡土【いと】郡のうち。神有村とも書く（続風土記・元禄郷帳）。はじめ豊臣氏蔵入地，慶長４年唐津藩領，慶安元年幕府領，同２年再び唐津領，延宝６年再び幕府領，享保２年からは中津藩領。神在組（安政６年から長野組）に属す。村高は，「正保郷帳」594石余（田458石余・畠135石余），「元禄国絵図」「享保２年郷村高帳」ともに1,127石余，「天保郷帳」「旧高旧領」ともに1,177石余。元和２年唐津藩主寺沢広高が検地を実施，天和元年～元禄３年の平均取米440石余（10か年撫免４ツ４厘），ほかに鴨運上銀137匁余，雉子運上銀１匁余，鮎川運上銀１匁余，真綿運上銀21匁余，夫米14石余などがあった。また元禄４年の家数51（本百姓26・水呑25），人数431，うち男251・女180（川上家文書）。宝暦11年の家数84・人数397（男222・女175），牛９・馬29（納富家文書）。弘化４年の人数463（男239・女224），出家１，医師１，山伏２（藤瀬家文書）。当村の藤瀬家・納富家が神在組大庄屋を勤めた。地内赤坂は福岡藩領と境を接し，寛永15年番所が建てられた。享保２年より４年間は当地に中津藩役人の詰所があった（二丈町誌）。納富家門前の塩石は，享保17年の飢饉時の炊き出しの時に塩を盛った石と伝える。文政11年大風害で年貢80石余が用捨（納富家文書）。文政３年幕府領岩本村と境争論が起る。天保４年，千早新田成立により当村より岩本村への用水路が拡張され，赤坂橋下より新溝も作られた（藤瀬家文書）。同10年当村と福岡藩領多久村・幕府領東村との間に境石が建てられた（川上家文書）。安政２年，地内赤坂に新たに水路が引かれた（同前）。同７年，当村より荻浦村へ用水を与えるために試しに井堰を作る仮約定が成立（庄崎家文書）。天保10年から坂巻善四郎が寺子屋を開き，明治３年の寺子数は男45・女７（県教育百年史）。浄土宗鎮西派長栄寺や阿弥陀堂・毘沙門堂などと天神社があった（川上家文書）。明治初期の戸数125・人口589（男304・女285），牛３・馬47，田54町余・畑８町余・山林４町余，溜池13，正税は441石余，雑税は米13石余と金９円余（地理全誌）。同年の筑前竹槍一揆の時は，納富家などが一揆勢の襲撃をうけた（前原町誌）。同13年加布里小学校と神在小学校が合併して赤坂に移転。同17年暴風で倒壊した五番学区共進校は，同20年には地内犬石で神在尋常小学となる（糸島郡誌）。同22年加布里村の大字となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7439361