山裏
【やまうら】

旧国名:日向
九州山地中央部,五ケ瀬川の支流岩戸川・日之影川上流の山間地に位置する。北は本谷山・笠松山・傾山など1,500m級の山々,東は傾山・夏木山・日隠山を結ぶ山脈,西は古祖母山・西ノ内岳・左右殿岳(城山)を結ぶ山脈に囲まれ,かつ地内中央を西南に走る乙野山・二ツ岳など1,000mを超える山並みがあり,地内を二分している。なお,これらの山々は祖母傾国定公園の一部をなしている。夏木山・日隠山・釣鐘山の山並みと二ツ岳・俵石山の山並みの間を日之影川が南流し,また古祖母山に源を発する岩戸川が南流して,当地は南北に走る3つの山脈と2つの川の間に立地し,集落は両河川沿岸に点在しており,岩戸川流域の集落(現高千穂町上岩戸)と日之影川流域の集落(現日之影町見立)との2地区に大別される。山は峻嶮で岩壁が多く,川は渓谷が深い山峡を流れる。平部嶠南の「日向地誌」でも「高千穂諸村ノ最偏僻ナルモノナリ」と記している。五葉岳に近い洞岳には高山植物の種類が多く,全国でも数少ないミヤマゼキショウがあり,また北方系植物群もある。傾山・五葉岳・頭巾岳の登山コースは,ツクシアケボノツツジの名所として登山家のあこがれの山でもある。山岳地帯の故に鉱山も多く,鉱石の種類の多いことも日本有数であるという。見立地区の本谷山の中腹(標高920m)には,出羽洞穴遺跡があり,南九州短期大学の考古学班の調査で,旧石器時代の遺跡であることが確認された。多くの打製石器が採集され,少なくとも2万~3万年前の遺跡といわれ,県内で最も古い遺跡となっている。
【山裏村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【山裏(近代)】 明治22年~昭和37年の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7608136 |




