真正譲渡
【しんせいじょうと】
True Sale
売主と買主との間の売買契約が実質的には買主から売主への融資に伴う担保権設定であるとみなされる場合があるが、このような担保権設定とみなされない真実の譲渡を真正譲渡という。売主と買主の間の売買が実質的には担保権設定であるとみなされた場合には、売主について倒産手続が開始した際などにおいて、当該譲渡の目的物が売主の資産に含まれるとみなされ、買主が目的物を手放さざるを得ないことになるリスクがあるため、当該目的物を主な引当としたノンリコースローンがなされる証券化案件などにおいては、SPCに資産を譲渡する際の真正譲渡性が問題になることも多い。かかる真正譲渡性の有無は、一般的には、当事者の意思や売買契約における買戻特約の有無などさまざまな要素を総合的に考慮して判断されるといわれている。真正譲渡性について争われた事案としては、マイカル事件が有名である。会社更生手続開始決定がなされたマイカルの管財人が、セール・アンド・リースバックという手法に基づいて負っている支払債務は共益債権ではなく更生債権であるとの主張を繰り広げ、実務家、学者を巻き込んだ一大論争に発展したが、最終的には、管財人と投資家との間での合意によって紛争の解決が図られ、真正譲渡性に関する裁判所による判断は行われなかった。
【参照キーワード】
→倒産隔離
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| 日経BP社 「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」 JLogosID : 8518242 |