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優越的地位の濫用
【ゆうえつてきちいのらんよう】


Abuse of Dominant Bargaining Position

自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らし不当に相手方に不利益を与える行為をすることを優越的地位の濫用という。取引条件については、本来事業者の自主的な判断に委ねられるべきものであるところ、取引上の地位が優越していることを利用して、相手方を抑圧し、一方的に不利益な取引を強要すると、公正で自由な競争が害されることになる。そのため、不公正な取引方法の一つとして優越的地位の濫用が禁止される(独占禁止法第19条、第2条第9項、一般指定第14項)。例えば、小売業者が、納入業者に対して優越した地位にある場合において、その地位を利用して、納入業者に対し押し付け販売、返品、従業員等の派遣の要請、協賛金等の負担の要請、多頻度小口配送の要請等を行う場合には、優越的地位の濫用に該当するおそれがある。そして、下請取引においては優越的地位の濫用が問題となる場面が多く、独占禁止法の特別法である下請法(下請代金支払遅延等防止法)によって下請代金の支払遅延や減額等、下請業者に対する親事業者の不当な行為を規制している。同法は、製造業からサービス業まで、幅広い事業分野における親事業者の禁止行為を明確に定め、違反行為があった場合は簡易・迅速に改善を求め、下請取引の公正化を図るとともに下請事業者の利益を保護することを目的としている。また、優越的地位の濫用を禁じた特殊指定には、「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」、「新聞業における特定の不公正な取引方法」および「特定荷主が物品の運送または保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」がある。
最近では、家電量販店が、納入業者の従業員を派遣させていた事案で、派遣の条件を合意したり、必要な費用を負担することなく、納入業者の従業員等を派遣させたことが大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法に該当するとして、公正取引委員会から排除措置命令を受けた例がある。
【参照キーワード】

不公正な取引方法




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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