NAS電池
【なすでんち】
sodium and sulfur battery
ナトリウム硫黄電池。「NAS」はナトリウムの元素記号「NA」と硫黄の元素記号「S」を合わせた略称。ナトリウム(マイナス極)と硫黄(プラス極)の間にある、固体の電解質を動くイオンを利用した大電力貯蔵用の蓄電池で、300℃の高温で充放電し、鉛蓄電池の約3倍のエネルギー密度を持ち、蓄電効率が高い。
単セルでの起電力は約1.78~2.08ボルトで、NAS電池電力貯蔵システムはこの単電池を数百本まとめてモジュール構造にしたもの。発電所でも使える容量の大きさに加えて、寿命が長いという特徴がある。
NAS電池は、1967年に米フォード・モーターが開発した。その後、国内では84年に日本ガイシと東京電力が開発を始めた。夜間電力の蓄電により電力設備の利用率を高められるほか、落雷時などの瞬間的な停電に備えた非常用電源としても注目を集めた。
安定した大容量の蓄電能力のために、最近では風の強弱に発電量が左右される風力発電での出力安定化装置としての利用も始まり、日本ガイシが量産を始めている。
(c)日経BP社 2011
| 日経BP社 「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」 JLogosID : 8523160 |