鶯・春鳥
【うぐいす】

uguisu
【古代】春が来ると、ホウ法(ホ)華(ケ)経(キョ)と鳴くというウグイス科の小鳥。別名、春(はる)告(つげ)鳥(どり){はるつげどり@春(はる)告(つげ)鳥(どり)}とも。[中国語]鶯、黄鳥。Japanese-nightingale.
【語源解説】
諸説あるが、1)鳴き声からという。初鳴きはクク、キョキョククなどホケキョーという鳴き声ではない。2)木の枝などのむらがっているところに巣を作るところから、古語でそうした場所を示すフがウに転じた語と関連するという。なおスは、カラス、カケスなど、鳴く鳥を示すスと考え、ウグヒ・スと二語。鳴き声からという。梅に鶯のみでなく、松、柳、つつじ、竹などにも巣くうという。古代から現代まで一貫して同一呼称。
【用例文】
○春の野に霞たなびきうらがなしこの夕かげに{めめとり)(うぐひす)鳴くも/春の野に鳴くや汗(ウ)隅(グ)比(ヒ)須(ス)(万)○{めめとり} 楊氏漢語抄ニ云フ、春鳥子、宇(ウ)久(ク)比(ヒ)須(ス)(和名抄)○心から花のしづくにそぼちつゝうくひすとのみ鳥のなく覧(らん)(古今集)○鶯のうらゝかなるね(源氏)○たにのうくひすもゆくすゑはるかなるこゑにきこえて(栄花)○花見鳥、匂ひ鳥、三月すこ鳥(藻塩草)○寛喜二年〔1230〕正月十六日、霞聳鶯啼(明月記)○こずえの花おとろへてみやのうぐひすこゑ老たり(平家)○其〔梅〕ノ花尤モ異ナリ春(ハル)毎(ゴト)ニ鶯有リ来リ宿ス鶯花相ヒ得タリト謂フ可シ(下学集)○Vguisu. ウグイス このようによばれる小夜鳥〔ナイティンゲール〕、ウグイスヲアワスル=ある鶯の鳴き声を他の鶯のとくらべてみる(日葡辞書)○黄(ウグ){れいとり)(ヒス)、鶯(同)、{めめとり)(同)、(易節用集)○{めめとり)(ウグヒス)、鶯、黄{れいとり)(同)、{くらとり(かのえとり)}{同}、春鳥(同)(書言字考)○鶯の身をさかさまに初(はつ)音(ね)哉(其角)○うぐひすや茨(いばら)くゞりて高う飛(とぶ)(蕪村)○喚起鳥(ウクヒス)、人(ヒト)来(ク)鳥(トリ)、花(ハナ)見(ミ)鳥(トリ)、留(トヽメ)鳥(トリ)、経(キョウ)読(ヨム)鳥(トリ)、歌(ウタ)詠(ヨム)鳥(トリ)、香(ニホヒ)鳥(トリ)(俳題正名)○{めめとり)(うぐひす)と堂(どう)鳩(ばと)と一(ひと)つ枝(えだ)に居(とま)りし心(ここ)地(ち)/{めめわかんむりとり)(うぐひす)の{てんてんむし)(かいこ)の中の郭公(ほとゝぎす)者(しゃ)が父(ちゝ)に似て者(しゃ)が父(ちゝ)に似(に)ず(譬喩尽)○鶯の片言梅は笑ひ出し(川柳)○ウグヒス 鶯 Cettxia cantans.(ヘボン)
【補説】
〈鶯(うぐひす)餅(もち)―いが餅(もち)、うぐひすもち、薄雲饅(まん)頭(ぢう)にあべ川もち(浮世床)〉のほか、鶯にちなんで、〈鶯張り・鶯茶・鶯娘(歌のうまい娘)・鶯菜(油菜の一種)・鶯の谷渡り・鶯綴じ・鶯染め・鶯砂〉など。
【補説】
ウグヒス、カラス、ホトトギス・キギス・カケスなど共通した接尾辞、スが考えられる。これは、スズメ、カモメ、ツバメ(ツバクラメ)など共通するメをもつグループと区別して考えられる。古歌に歌われる。〈鵲(カササぎ)(一名、朝鮮鴉)〉は朝鮮語によるという。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537180 |




