河童・水虎
【かっぱ】

kappa
【江戸時代】〈河太郎・がわたろう{がわたろう@がわたろう(河太郎)}〉とも。想像上の動物。水陸両棲。髪は短く、頭の上に凹みがあって、これを皿とよび、水をたたえている(水がなくなると活動できなくなる)。水中に人や他の動物を引き入れて血を吸うといい、尻から尻(しり)っ子(こ)だま(腸のこと)を抜きとって人を廃人にするという。中国では〈水虎〉とよんだ。[中国語]河童。river monster, water spirit.
【語源解説】
文字どおり、河(かわ)の童(わらは)(小児をさす古語)の訛り。カハ・ワラハ→カワワラハ→カワラハ→カッパと変化。
【用例文】
○河(カハ)童(タロウ)処々大河ニアリ又池中ニアリ(大和本草)○河童〔河伯とも〕にも川流れ(和歌民のかまど)○川太郎mini{かはたろう}、一名川(カハ)童(ラウ)、按ニ川太郎ハ西国九州渓澗、池川、多之有リ(和漢)○水虎(かわたろ)(早節用集)○川童 がはたunderline{らう}○畿内及九州にて○がはたunderline{らう}又川のとの又川(かは)童(つは)とよぶ……東国に underline{かっぱ}と云 mini{川わっぱのちゞみたる語也、小児をしかるにもかっぱともいふ}(物類称呼)○河伯(カッパ)ノ屁(諺苑)○水虎 カッパmini{古歌}、mini{江戸}、mini{奥州}、ガハタラウmini{畿内}、mini{九州}、カハノトノ、カハカッパmini{畿内}、mini{九州}、mini{越後}、mini{佐州}、ガハタロmini{京}、ガハラmini{越前}、mini{播州}、mini{讃州}、カハコmini{雲州}、カハコボシmini{勢州山田}、グハタラウ、ヱンコウmini{土州}、mini{豫州大州}、mini{防州}、mini{石州}、mini{備後}、ヱンコmini{豫州松山}、メドチmini{南部}、ガウゴmini{備前}、カウラワラウmini{筑前}、テガハラmini{越中}、ミヅシmini{加州}、mini{能州}/濃州及び筑後柳川辺尤多シト云(本草)○川童(かっぱ)野郎が泥水にのめり込み/河童の皿に豆蟹の居候(川柳)○今夜は何故(なぜ)か乙(おつ)な事だ、河童(かつぱ)の河流れ〔猿も木から落ちると同じ意〕と云ふやつだ(人情本)○私ニ案ズルニ川太郎ハ一種ノ水怪ニシテ、不可思議ノモノナリ(水虎考略)○河(かっ)童(ぱ)の屁といふはどういふわけか知りはしめへ(滑稽本)○水虎mini{〈通雅〉}、ガハタロウ(古名録)○かっぱがをかへあがったやう(安愚楽鍋)○僕はだんだん河童の使ふ日常の言葉を覚えて来ました(芥川龍之介)○横須賀河童忌〔芥川龍之介の命日〕(新聞)
【補説】
『日本書紀』に〈河有物其形如人=河ニ物有リ其ノ形人ノ如シ〉とみえるのが、後世の〈河童〉の源であろう。〈水(かわ)獺(うそ)〔獺、古名、ヲソ〕〉が河童に擬せられている。なお女の子の〈おかっぱ{おかっぱ}(頭)〉もこの河童のヘアスタイルに似ているところからの命名。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537381 |