かまける
【かまける】

kamakeru
【古代】他のことにとりまぎれる。何かあることにのみ気がうばわれ、むしろ目前のことをないがしろにする。[中国語]忙於。be taken up with.
【語源解説】
漢字、〈感(カン)kam〉を動詞にはたらかせて、〈感(カ)まく、kamaku〉(感じ入る、心を奪われる)とした。
【用例文】
○深ク二途ヲ感(かま)ケ(紀)○おきなの歌におほほしき〔茫然としたる〕九(ここ)の児(こ)らや蚊(カ)間(マ)毛(ケ)て居らむ(万)○三人共に渡世にかまけまして御無沙汰を(mini{大蔵流}狂言)○左様の事にかまけてうろつく幡楽にあらず(近松)○{こうくわわる)(かまけ)まして mini{江戸詞也、取込しことに用ゆ語なり、手前にかまけましてなどいへり}(譬喩尽)○渡世にかまけまして久しうおめにかゝりませぬ(洒落本)○カマケルmini{〈俗語〉}< コドモニカマケテモノガデキヌ、テマイニカマケテゴブサタニナリマシタ(ヘボン)○かまけル かまく〔気(カ)負(マク)の義、感ズル〕の近体。ソノ事ニノミ拘泥スル「手前ニかまけマシテ」(日本大辞書)○そうそうお前のことばかりにかまけてはいられないよ(岩野泡鳴)
【補説】
古代にみえ、江戸期にもみられるけれども、その間には必ずしもよく例がみられるわけではない。江戸語ではあるまい。また、一説に、語源を〈気負ケ、気任(マ)ケ〉とも解している。しかし古代語からして〈感〉を想定したい。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537395 |