雷・神鳴
【かみなり】

kaminari
【近代】空中放電による稲妻にともない発するゴロゴロという音。別称は〈カミ{かみ@かみ(神)}・ナルカミ{ナルカミ}・イカヅチ{いかづち@雷(イカツチ)}〉。カミナリオヤジというように口やかましい人をさして譬喩的にも用いる。[中国語]雷、打雷。thunder.
【語源解説】
古代では自然現象ではなく、天上に神がいて、音をおこすと考えたので、神(カミ)鳴(ナ)りと名づけ、〈火神鳴り〉と〈水神鳴り〉の二種を想定した。
【用例文】
○天雲の近く光りて響(なる)神(かみ)の見ればかしこし見ねば悲しも/天雲をほろに踏みあだし鳴(なる)神(かみ)も今日にまさりてかしこけめやも(万)○雷公 mini{和名、伊加豆知(イカヅチ)一云フ奈(ナ)流(ル)加(カ)美(ミ)}/襲(し)芳(ほう)舎(しゃ) mini{加美奈利乃豆保(カミナリノツボ)}、霹(へき)靂(れき)ヲ以テ俗ニ之ヲ雷鳴壺ト謂フ(和名抄)○神〔神鳴〕のいたう鳴る折にかみなりのじん〔警固の陣〕こそいみじう恐ろしけれ(枕)○霹靂mini{カミナリ}(伊呂波字類抄)○夕立はなほはれやらでなる神の月にもなりぬ夏やくるらん(定家)○孔雀(クジャク)……花ト倶ニ栄(エイ)衰(スイ)雷(カミナリ)ニ因テ孕(ハラ)ム(下学集)○Caminari. カミナリ 雷鳴、カミナリガスル、カミナリガ落ツル/Narucami. ナルカミ/イカヅチ(日葡辞書)○白雨(ゆふだち)して、神鳴(かみなり)臍(へそ)をこゝろ懸(がけ)落(おち)かゝる/火(ひ)神(かみ)鳴(なり)の来て……水(みづ)神(かみ)鳴(なり)ども夜(よ)ばい星(ほし)にたはふれ(西鶴)○神鳴のぴっかりとして沙汰もなき(芭蕉)○雷公(カミナリ)、豊隆(同)(書言字考)○襲芳舎(カンナリノツボ)、雷(カミナリ)陣(ノジン)(俳題正名)○雷(カミナリ)mini{イカヅチ}、雷公(カミナリドノ)(雑字類編)○雷の卵で焔(ゑん)硝(せう)臭ひ(譬喩尽)○雷のおかげで新造にだきつかれ/神鳴はおもねる公家の上へ落(川柳)○カミナリ 雷 雷ガゴロゴロトナル、雷ガ落チル、雷ヨケ。類義語 雷(ライ)、イカヅチ、ナルカミ(ヘボン)
【補説】
古くは〈鳴(ナル)神(カミ)〉、また略して、〈カミ〉とも。近代語は〈神(カミ)鳴(ナリ)〉。⇒〈いなずま〉〈くわばらくわばら〉

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537399 |