調戯う・揶揄う
【からかう】

karakau
【近代】冗(じょう)談(だん)をいって人をもてあそぶ。ときにはバカにする。[中国語]戯弄、嘲弄。make fun of, tease.
【語源解説】
古くは現代と異なって、対象に対し、関心をもって互いに争う、張りあうの意がつよい。したがって、カラム{カラム}と同系語で蔦などが木にカラムように人に対し気持ちでも体でもカラムのがカラカウ。古くは口論などもカラカウと用いた。
【用例文】
○心に心をからかひて高野の御山にまゐられけり(平家)○Caracav{o}.カラカゥ 口論するまた喧嘩する(日葡辞書)○あれ子供がからかふは(狂言記)○喧{もとぶた)(カラカフ)、尅(同)(書言字考)○女房とからかっただけ土手をかけ(川柳)○小(こ)ぢょく〔小職、召使う少年、少女〕は共をしながらふりかへりて熊〔人名〕にからかふ(浮世床)○〔芸者は〕ちっとおきゃくにからかはれるとなきだしたり(安愚楽鍋)○カラカフ {くちからい}mini{〈俗語〉}To tease ,vex. 犬ニカラカウ、コドモニカラカフ、心ニカラカウ(ヘボン)○犬にばっかり弄(からか)つて居るんでせう(泉鏡花)○先方(さき)も{おんなてい)(からかい)面(づら)になって執(しつ)固(こ)く弾(ひ)く(尾崎紅葉)○よく他(ほか)の子供にからかわれたり、石を投げられたりした(島崎藤村)○お戯言(からかひ)遊ばすな、そんな事はぞんじません(中村花壮)○細君は調戯(からか)ふ様な口調であった(漱石)○悲しんでいるものを調弄(からか)ふなんて(長田秋濤)○その若い女に揶揄(からか)った(志賀直哉)
【補説】
明治初期はまだ、いわゆるカラカウ、争ウの両方の意がある。用字もさまざま。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537400 |