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器用
【ぎっちょ】


gittyo

【近代】〈左ぎっちょ{ひだりぎっちょ@左ぎっちょ}/左(ひだり)利(きき){ひだりきき@左(ひだり)利(きき)}〉と同じ。左の手が右の手よりもよくきくこと。また、その人。[中国語]左手好使的人、左{てへんへい}子。left-handedness, southpaw.

【語源解説】
ギッチョは俗語とされるが、日常話しことばの典型的語形。本来は〈左(ひだり)器(き)用(よう)〉といい、器用kiy^{o)(キヨウ)→(hidari(ヒダリ)-kiy^{o)(キヨウ))→(hidari)gitty^{o)(ギッチョウ)→gittyo(ギッチョ)と省略、変形。日常的に口にしているうちに変化しそのまま書きことばとして通用し、さらに文字化された。不器用bukiy^{o)(ブキヨウ)→ブキッチョbukittyoとなるのも同現象。俗に左(ひだり)利(きき)の人は器用といわれる。

【用例文】
○Fidariguicchv{o}.ヒダリギッチャゥ 左利。または左利の人。mini{inhibitglue〈卑語〉}/Fidariguiqi. ヒダリギキ=左利の人(日葡辞書)○左(ひだり)義(ぎ)長(ちょう)の器用はだ〔肌〕(西鶴)○はごの子〔難儀している子〕の命をすくふ左利き/ひだりぎてうが粽(ちまき)まきかつ/つと出のお竹人の見ぬ時(とき)やぎっちょ也/そうぞくが左りぎっちょにほれて居る(川柳)○俗間に左の手のきゝたる人をギッチョウといへるは左義長といふ意、左専らきゝたるに準(なら)ふ(俚言集覧)○ギッチャウ left-handed person./ヒダリギキ 左利、ヒダリギッチョ。left-handed.(ヘボン)
【補説】
『日葡辞書』の例は貴重。なお酒飲みを俗に〈左(ひだり)利(きき)〉という。職人、ことに金山の掘り手などは鑿(のみ)を左にもつ点、ノミに飲(のみ)・鑿(のみ)をかけてのしゃれ。また、野球でいうサウスポウ{サウスポウ}south-paw(左腕)は直訳すると南ノ・獣ノ爪アル手(足)の意。古くはみえない英語。⇒〈きよう〉〈ひだり〉




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537440