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擽る・{てへんれき}る
【くすぐる】


kusuguru

【古代】古形は〈こそぐる{こそぐる}〉。脇の下や足の裏など、肌のある部分にふれ、神経を刺激してみせること。[中国語]{つきかく}肢。tickling.

【語源解説】
現代語で鍋(なべ)の底をコソゲルのように、コスリ削ルことのコソゲル{コソゲル}やコスル{コスル}と同根語。その古形がコソグル(古くはさらに、コソクルと清音)。これが母音交替(o→u)により、コソグルkosoguru→クスグルkusuguruとなった。なおコソグルはコソ・グルからなり、コソはコスル、またコソコソという擬態語。グルはクルで操(クク)ル、また探(サグ)ルの意。

【用例文】
○撃、{きへんれき} mini{己(コ)曽(ソ)久(ク)留(ル)、愚按 己(コ)曽(ソ)久(ク)留(ル)、久(ク)須(ス)具(グ)留(ル)也}(新撰字鏡)○{きへんれき} コソクル({あい}嚢抄)○{まだれきひりっとう)(コソグ)(早大節用集)○Cosoguru. コソグル くすぐる/Cosogueru. コソゲル 削り落す(日葡辞書)○刮(コソグ)(易節用集)○朝ごみにねどころにしかゝってこそぐりおこし(好色貝合)○擽(コソグル)、{てへんれき)(同)/刮(コソゲル)、{てへんかん)(同)(書言字考)○擽(こそぐる)(早節用集)○此やうな小盃では少しくすぐッたい〔気まりがわるい〕やうじゃ(遊子方言)○又くすぐりいすょ(洒落本)○こそぐる 人をこそぐる又こそぐり足などもいへり、小探りの義成べし。俗に擽字をよめり(倭訓栞)○こそぐってはやくうけとる遠目がね/くすぐれば禿(かむろ)ちひゝと笑ふなり(川柳)○擽(くすぐる)mini{人を}、{てへんれき)(同)(いろは節用)○アレくすぐッたいヨ。ホイ堪忍(かんにん)しな(梅暦)○クスグル to tickle. ヒトヲクスグッテワラワセル/クスグッタイmini{〈俗語〉}クスグッタイカラオヨシ。同義語 コソバユイ(ヘボン)○白状しないとくすぐるぞ(坪内逍遙)○意地悪く渠(かれ)の自尊心をくすぐった(漱石)○擽(くす)ぐッたい様な顔をして胡座(あぐら)を組んで居る(小杉天外)
【補説】
古形にもクスグルがみえるが、18世紀後半にならないと、書物のうえでは一般的にはみえない。また、〈自尊心をくすぐった〉のように、精神的なある種の刺激を与えられることにも用いるようになる。なお、青森南部方言で、クスグッタイをモチョコシイ{モチョコシイ}などという。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537470