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さかい
【さかい】


sakai

【江戸時代】代表的上方語。〈さかいに(で)〉でも用いる。〈……ゆえに・だから〉と理由を表す。江戸・東京の〈……から〉に対応する。方言では〈サケ・スケ〉など音変化した語形で用いる。[中国語]因為。because.

【語源解説】
国と国の境目のサカイから。江戸という土地でも初期はごく普通に用いられていた。境は一つの限界を示す点、……であるかぎりの意をもち、さらにであるゆえに=サカイ(ニ)の用法が派生。やがて理由を示す接続詞として用いられるようになる。

【用例文】
○月夜で風の吹かぬ時隙(ひま)じゃさかいに夜番さしやりますか/親(おや)仁(じ)がくれたさかいに着(き)る(西鶴)○己がまゝに鑓(やり)をぶりくりまわすさかいで……替事(かわること)はないもんだ(雑兵物語)○餘(あん)まり沢山あるさかい、あのお星さんを幾個(いくつ)あるかお前算(かぞ)へて見さんせんかへ(歌舞伎)○みな人が馬のものじゃと申さかいで、これも私(わたくし)のとはいわまい(咄本)○畿内近国の助語にさかいと云ふ詞有り、関東にて、からと云ふ詞に当る也(物類称呼)○ぢきに破(や)れます代物(しろもの)じゃさかいこれより高くはあげられませぬ(黄表紙)○「さかい」とはナ物の境目じゃ。ハ、物の限る所が境じゃによって、さうじゃさかいに、斯(こう)した境(さかい)と云(いふ)のじゃはいな/ひかり人(て)〔叱り手〕のないさかい、よう済んである(浮世風呂)○大ぶん端毛(はけ)が長うなったさかい……結ふて置きまするぞへ(滑稽本)○はっきり云ふてくへんさかい分らへんねんけど(谷崎潤一郎)
【補説】
用例から判明するように、江戸初期、東国でもサカイは用いられた。これは関西人が移住したからで、関西文化の強さを示す一つの象徴的な現象。やがて東国、江戸では用いず、〈上方弁〉にとどまる。ただし全国的にその異形(方言)サケ、スケなどがある。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537570